「チーム」から「クラブ」へ
二宮清純
サッカーW杯南アフリカ大会まで、あと1カ月。日本代表チームの最終メンバーも決定した。日本代表の岡田武史監督は「ベスト4」を目標に掲げている。客観的にみれば、日本は1次リーグ突破も微妙な状況ではあるが、監督自身が常々、口にしている「世界を驚かせる」サッカーをみせてほしい。
さて、ここでひとつ読者の方に問いかけてみたい。私たちは日本代表チームと呼ぶ一方で、日本代表クラブとは言わないのはなぜだろうか。逆にJリーグではJチームではなく、Jクラブと表現するのはなぜだろうか。
それはチームとクラブの持つ意味に起因している。チームは基本的に、ある目標を達成するために集まった集団である。つまり目的を達成すれば解散してもよい。今回の岡田ジャパンも「ベスト4」の目標をクリアできるかどうかは別として、W杯が終われば「チーム」としての活動は終了する。
一方、クラブは原則として解散しない。Jリーグのクラブも一部の例外を除いて、創設当初から数を増やし、各地域に根付いてきた。クラブは、いわば家庭と同じようなものだと考えてもらえばいい。そして、自分たちの地域のクラブを文字通り支援するのが、「サポーター」である。チームを応援する一過性の「ファン」とは異なり、クラブを支える「サポーター」も支持クラブを変えることは基本的にはない。
Jリーグもスタートから今年で18年目を迎え、その間、W杯にも4回出場した。しかし、まだまだ日本では代表「チーム」にばかり焦点が集まり、「クラブ」はその下部組織との位置づけが根強い。サッカーの強豪国がひしめくヨーロッパでは、代表「チーム」より注目されるのは地元「クラブ」の動向だ。
日本が世界の列強と肩を並べたいなら、まず、この部分から意識を変えていかなくてはいけない。もっと踏み込んで言えば、クラブを支えるのが「サポーター」だけでは不十分だ。地域住民や企業がお金を出し合って、よりクラブづくりにコミットメントしていくべきだろう。お金を出す代わりに、クラブに意見も出すし、施設も使う。家庭であるクラブの構成メンバー、つまり“家族”を増やすことが一家繁栄には不可欠なのだ。クラブの充実、その延長線上にこそ代表の強化がある。
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