
今年、大卒予定者の就職内定率は10月1日現在で57.6%と過去最低を記録している。バブル崩壊後にもなかった超氷河期だ。
就職難にあえぐのはアスリートも例外ではない。
たとえばクロスカントリースキーの国内第一人者で五輪にも2度出場した恩田祐一。本人は4年後のソチ五輪を目指して活動しているものの、新たな所属先がみつかっていない。200社程度に“就活”を試みたそうだが、雇ってくれる会社は現れなかった。本人のブログには「所属先・スポンサー募集中」の文字が寂しく掲げられている。
11月9日付の朝日新聞に富山市にある地質調査業「ダイチ」の田中洋一郎社長のインタビューが掲載されていた。ダイチは社員40名ほどの小さな会社ながら、3名のスピードスケート選手を採用している。その中には先のバンクーバー五輪の女子団体追い抜きで銀メダルに輝いた田畑真紀と穂積雅子もいる。
<1人にかかるお金は、田畑が来て初めて知ったんですが、五輪代表の方が安く済むんですね。
田畑らは日本スケート連盟の強化選手ですから、強化費が支給されます。海外を転戦するワールドカップの遠征費も出るし、五輪に出場する場合も負担はない。(中略)
田畑と穂積の給料は事務職並みで諸経費を合わせても2人で年間2千万円はかかりません>
スポーツにはカネがかかる。
そう考えている企業は意外と多いのではないか。しかし、実際には田中社長が語るように、一般社員並みの給与でもアスリートは活動ができる。所属選手が国内や海外で結果を残した際に、会社の名前が至るところで取り上げられることを考えれば、その宣伝効果は絶大である。
<周りからはスポーツを支援して大変ですね、とよく言われます。でもスケート部がなかったら大変じゃないのかと言うと、そうでもない。むしろ、なかったら、もっと大変だったかもしれない。富山のような地方の会社の選手が世界の舞台で頑張ることが社員みんなの励みになり、やる気を生んでいます>(以上、朝日新聞より)
厳しい経済状況のなか、スポーツチームを保有したり、大口スポンサーになることは難しいかもしれない。しかし、アスリートを1人雇用するくらいなら可能な企業は少なくないはずだ。日本オリンピック委員会も提唱する「ワン・カンパニー、ワン・アスリート」運動をさらに前進させてほしい。