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ラグビーW杯成功のために

二宮清純

 2019年、ラグビーW杯が日本にやってくる。
 ラグビーといえば、私はフランスで見た、ある試合が忘れられない。

 1998年夏、サッカーW杯フランス大会の取材で現地を訪れた時のことだ。ノルマンディーに住んでいたいとこにラグビーの試合観戦を誘われた。フランスのラグビーだから、さぞかしレベルの高いゲームが観られるだろうと、喜び勇んで小さな村の試合会場に向かった。

 ところが実際に行ってみると、雰囲気が少し違っていた。目の前では10代の子どもから70代の高齢者までが一緒にひとつのボールを追いかけていたのだ。出場選手の合計年齢がだいたい500歳になるようにルールを決め、地区ごとのクラブで対抗戦を行っていた。

 試合の様子に目を凝らすと、おもしろいことに気がついた。子どもがボールを持つと、まずはどんどん走らせる。しかし、トライの寸前まで来た瞬間、彼らの親世代のラガーマンがパッとタックルをしかける。まるで「世の中、そんなに甘くないぞ」と言わんばかりのプレーをみせるのだ。

逆に高齢者がボールを持つと、周囲はやさしく包み込むようにタックルする。相手がケガをしないよう、互いを尊重し、いたわりながらゲームを進める光景はとても印象的だった。

 さらに盛り上がるのは試合後の打ち上げだ。「うちの孫はさすがだ。ひ弱だと思っていたけど、ワシの血をひいているだけのことはある」。ワイン片手におじいちゃんが孫の自慢をすれば、「うちのおじいちゃんは腰が曲がりかけているけど、タックルしても倒れない。かっこ良かった」と、孫もおじいちゃんの偉大さに気がつく。こうしてボールひとつで3世代の絆が自然と深まっていくのだ。

 果たして日本で、このような風景が日常的に見られるだろうか。W杯を成功させるためには、何よりラグビーを楽しむ人を増やさなくてはいけない。

 残念ながら、この国のラグビー競技人口は年々、低下している。若年層の育成や代表の強化も大切だが、3世代で楕円のボールを追いかける機会をラグビー協会はぜひ設けてほしい。10年は長いようで、意外と短い。
 2019年、ラグビーW杯が日本にやってくる。
 ラグビーといえば、私はフランスで見た、ある試合が忘れられない。

 1998年夏、サッカーW杯フランス大会の取材で現地を訪れた時のことだ。ノルマンディーに住んでいたいとこにラグビーの試合観戦を誘われた。フランスのラグビーだから、さぞかしレベルの高いゲームが観られるだろうと、喜び勇んで小さな村の試合会場に向かった。

 ところが実際に行ってみると、雰囲気が少し違っていた。目の前では10代の子どもから70代の高齢者までが一緒にひとつのボールを追いかけていたのだ。出場選手の合計年齢がだいたい500歳になるようにルールを決め、地区ごとのクラブで対抗戦を行っていた。

 試合の様子に目を凝らすと、おもしろいことに気がついた。子どもがボールを持つと、まずはどんどん走らせる。しかし、トライの寸前まで来た瞬間、彼らの親世代のラガーマンがパッとタックルをしかける。まるで「世の中、そんなに甘くないぞ」と言わんばかりのプレーをみせるのだ。

逆に高齢者がボールを持つと、周囲はやさしく包み込むようにタックルする。相手がケガをしないよう、互いを尊重し、いたわりながらゲームを進める光景はとても印象的だった。

 さらに盛り上がるのは試合後の打ち上げだ。「うちの孫はさすがだ。ひ弱だと思っていたけど、ワシの血をひいているだけのことはある」。ワイン片手におじいちゃんが孫の自慢をすれば、「うちのおじいちゃんは腰が曲がりかけているけど、タックルしても倒れない。かっこ良かった」と、孫もおじいちゃんの偉大さに気がつく。こうしてボールひとつで3世代の絆が自然と深まっていくのだ。

 果たして日本で、このような風景が日常的に見られるだろうか。W杯を成功させるためには、何よりラグビーを楽しむ人を増やさなくてはいけない。

 残念ながら、この国のラグビー競技人口は年々、低下している。若年層の育成や代表の強化も大切だが、3世代で楕円のボールを追いかける機会をラグビー協会はぜひ設けてほしい。10年は長いようで、意外と短い。
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