
政権交代は日本のスポーツ政策にどんな影響をもたらすだろうか。
先の総選挙で308議席と圧勝した民主党はスポーツ振興に熱心か。残念ながら、この点には首を傾げる部分がある。自民党が「スポーツ基本法」の制定や、「スポーツ庁」の創設をマニフェストにうたっていた一方で、民主党のそれにはスポーツの「ス」の字もなかった。
民主党のスポーツ政策は、HPで公表されている<政策INDEX2009>に記載されている。ここでは地域密着型のクラブづくりや公共施設の芝生化など、スポーツの普及・育成に軸足を置いた施策が並ぶ。どちらかといえば自民党はトップアスリートの支援に重点を置いていたから、こちらのほうが私の考え方に近い。
問われるのは実行力だ。私は以前より、日本にはスポーツ庁が必要だと訴えてきた。この国のスポーツ政策は、学校体育や競技スポーツが文部科学省、障害者スポーツや健康増進が厚生労働省、運動公園や競技場の整備が国土交通省、宝くじによるスポーツ助成が総務省……と各省庁がバラバラに展開しているのが実状だ。
スポーツ関連予算は約1900億円あるが、半分近い約900億円は国土交通省が握っている。これらは主に公園整備、施設の維持に充てられ、指導者や選手の育成などに振り分けられることはない。ある県では、1周300メートルのトラックや、スタジアムの外野に庭石が置いてあるような公園もある。果たして300メートルトラックで陸上大会を開催できるだろうか。外野に石があるようなスタジアムで、まともな野球の試合ができるだろうか。利用者のニーズに沿ったものとは言い難いハコモノが今もつくられている。
このようなムダをなくすには、スポーツ庁を創設して、財源を一元化するしかない。国がスポーツに対する理念を示し、それに沿って施策をする。いずれは地方に予算を移譲し、各自治体の判断で環境整備やスポーツ振興事業などを実施できるようになれば、地方分権の流れにも合致する。スポーツを子育て支援や少子高齢化対策の一環としてとらえれば、民間の教育や介護事業との提携も可能だ。
民主党政権は行政のムダを徹底的に省くことを目標にしている。今のスポーツ行政には大いなるムダがある。スポーツ庁の創設は、官僚主導の縦割り行政にメスを入れる象徴的存在となるはずだ。
二宮清純責任編集スポーツサイト