
プロゴルファーの石川遼は中学時代、陸上部に所属していた。
それまではサッカーも好きで地元ではエースストライカーだったという。
「サッカーは団体競技ですから(ゴルフの試合で休むと)迷惑がかかる」という父・勝美さんの考えもあったようだが、短距離走での下半身強化が、その後のゴルファー人生で大きくプラスに作用したことは想像に難くない。ツアー史上最年少優勝など若くして結果を残せたのは、安定したショットと卓越した飛距離があったればこそ。それらを支えているのが陸上で培った強靭な足腰である。
アテネ五輪柔道男子100キロ級金メダリストで今年の全日本選手権も制した鈴木桂治は小学校時代、サッカーをやっていた。
その能力は高く、「サッカーを続けていても日本代表になったはず」との声があったほどだ。彼が得意にしている足技は、かつて谷亮子が「足が生きている選手はたくさんいるが、指が生きている選手は桂治くらい」と絶賛していた。サッカーのボールさばきが畳の上で生きたのだとすれば、まさに芸は身を助くである。
そのサッカー界では、元日本代表の巻誠一郎が高校2年までアイスホッケーをしていたことはあまり知られていない。父の昇治さんがアイスホッケーの元選手で、その勧めもあって始めたという。
「コンタクトの面では鍛えられたかもしれませんね。アイスホッケーでは重心が少しでも浮けば吹っ飛ばされてしまいますから」
前線で当たり負けしない巻の持ち味はアイスホッケー仕込みなのだ。
広島のエース前田健太も小学生時代は水泳に体操など、さまざまなスポーツに取り組んだ。彼は手首や肩の関節が人一倍柔らかい。それらが投球の際にムチのようにしなり、伸びのあるストレートが生み出している。
「水泳は肩甲骨にいい部分もあったと思います。水泳や体操など、いろんな種目をやることで野球じゃ鍛えられないところも鍛えられたし、野球ではできない動きもできるようになった。そういう意味でも僕は小さい頃からいろいろなスポーツに取り組んだほうがいいと思います」
近年は少子化に伴い、子供に早期から特定の習い事やスポーツに取り組ませる保護者が少なくない。英才教育による「選択」と「集中」が進んでいる。しかし、向き不向き、得手不得手は初めから分かるものではない。前田も語っているように複数のスポーツに取り組むことで体のさまざまな部位が鍛えられる効果もある。“この道一筋”ではなく、“あれもこれも”。子供のうちは“二刀流”“三刀流”でも構わないのではないだろうか。