
スポーツの秋、芸術の秋がやってきた。今回は最近のスポーツ映画の中から、おすすめの作品を3つ紹介したい。
1本目は『エリックを探して』(2009年)。何をやってもうまくいかない中年郵便局員の目の前に突然、元マンチェスター・ユナイテッドのストライカー、エリック・カントナが現れる(しかも演じるのは本人!)。カントナのアドバイスで勇気を得た中年男が、再び家族の絆を取り戻していく物語だ。
映画ならではのあり得ない設定と言うなかれ。変わり映えしない日常の連続である人生に救世主は必要だ。まして救世主が憧れのヒーローならば、その喜びは計り知れない。こんな夢なら見てみたい。そう思わせる1本だ。
2本目は『ザ・ファイター』(2010年)。これは兄弟ボクサーの実話を元にしている。兄のディッキーは才能にあふれたボクサーだったが、それゆえに怠け心に勝てず、麻薬におぼれて逮捕されてしまう。一方の弟ミッキーは地道な努力で世界チャンピオンを夢見ているが、金目当てのマッチメイクもあり、なかなか勝つことができない。
だが、弟はそれでもリングに上がり、やがて連戦連勝を収めるようになる。そこへ出所した兄が現れ、弟と二人三脚で世界王座を目指す。バラバラになっていた兄弟や家族の絆が夢に向かってひとつになる感動のストーリーだ。
3本目は『ステロイド合衆国 ~スポーツ大国の副作用~』(2008年)。このドキュメンタリーはステロイドをテーマにアメリカの真の姿を描き出す。「ステロイド=悪」という単純な図式ではなく、「そもそもステロイドとは何か」「なぜ人々はステロイドに手を出すのか」といった視点を客観的に取り上げている。
メジャーリーグで薬物疑惑が取り沙汰されたマーク・マグワイアやバリー・ボンズがホームラン記録を打ち立てた頃、彼らは「強いアメリカ」の象徴だった。つまり、国威発揚に一役買ったのだ。ステロイドの実情に迫ることは単にスポーツの世界のみならず、アメリカという国家そのものを知ることにもつながっていく。
いずれの作品もDVD化されている(ザ・ファイターは10月4日発売)。秋の夜長に、映画鑑賞も悪くない。